元気を取り戻していく患者さんを、一番近くで見届ける幸せ

学生時代から「誰かをお世話する仕事」に就きたいと考えていた前田さん。専門学校で勉強するより、実践で仕事を覚えたいと行き着いた職業は「看護助手」(=PSA) でした。他の病院でも看護助手として働いた経験のある前田さんに、亀田でPSA(Patient Assistant Service)と呼ばれている看護補助者のお仕事について教えてもらいました。

今回はPSAという病棟の看護補助のお仕事について詳しく教えていただくため、PSA歴16年目の前田さんにお話を伺いました。人と接するのが大好きな前田さんが選んだ「入院患者さまのお世話をする仕事」とは。
前田さんのお話から見えてくるPSAという仕事の魅力。将来の選択肢の一つとして、PSAというお仕事も検討してみませんか?

欲しいのは資格よりも実践での経験。看護助手を選んだ理由は?

どうして看護助手(=以下PSA)のお仕事に就いたのですか?

私は元々保育士になるのが夢でした。中学生の時には保育園の実習にも参加して、大好きな子供のお世話をする仕事に就こうと思っていましたが、少子化ということもあり、今後は高齢者のお世話をする仕事の方が就きやすいよと人に言われたんです。そこで、高校時代はボランティア部に所属して千葉の青少年赤十字で活動したり、地元の老人ホームでの活動体験をしたりして、その経験から介護福祉士を目指すことを考えました。

専門学校に入ろうかとも考えたのですが、最初から現場で働きながら実践で覚えた方が早いだろうと思い、高校卒業後、地元の病院で看護助手として働くことを決めました。最初は体力的にもきついかな?と思いましたが、やってみたらすごく楽しかった。結局介護福祉士の資格を取ることは諦めましたが、仕事はずっと続けています。

どうして亀田のPSAになったのですか?

最初の病院で働いていた時に、職場の環境が合わず体調を崩してしまったんです。そこで自分自身が入院することになったのが亀田総合病院(以下、亀田)でした。入院中に看護助手の人が働いている姿をみて、仕事のボリュームは自分が働いている職場に比べて多そうだし、大変だなと思ったけれど、人間関係がすごく良いように見受けられて興味を持ちました。ちょうど高校時代の同級生が亀田に勤めていて、彼の話も聞いた上ですぐに転職することを決めました。

亀田に転職して、実際にPSA業務をやられてどうでしたか?

亀田の良いところは、みんなが協力し合って仕事をしているところです。時には看護師が手伝ってくれることもあります。私が転職して入ってきたときも、まるで以前からいたかのように接してもらえて、職場になじむのにあまり時間はかかりませんでした。すでに看護助手としての経験があったことも功を奏したのかもしれませんが、自分のこれまでの経験を認めてもらえた感じがしてとてもうれしかったですね。
PSA業務も看護師の業務も、病棟毎にやり方が違うのですが、担当外の病棟が困っている時はその病棟にいるPSAや看護師と相談し、協力し合って患者さまのケアに支障が出ないように工夫しています。

患者さまとのコミュニケーションも大切な業務
一番近くで心と身体の変化を汲み取る

PSAとして働くやりがいって、どんなところで感じますか?

退院時に元気な姿で帰っていく患者さまを見送る時ですね。入院って、元気じゃないからするわけじゃないですか。人によっては長期間入院される方もいて「早く家に帰りたい」と思われている方ばかりです。だから、私はどうしても元気を出してもらいたくて、ケアをしながら色んな話をして笑いを取るようにしています。自分も楽しいですしね。元々、友達や同僚の相談相手にのることが多いいんですが、人って、話を聞いてあげるだけで落ち着いてくれることも多いじゃないですか。それと同じように、患者さまのお話もしっかり聞いて、心と体の回復のお手伝いができればと思っています。

何かと忙しい看護師に代わって、患者さまと密にコミュニケーションを取ったり、日常生活の介助を行ったりする中で、患者さまに関わるあらゆる情報をキャッチして看護師や医師にいち早く伝えることも大切な業務の一つです。
入院時には元気が無くて落ち込んでいた患者さまが、日に日に元気になっていく姿を見届けることが何よりもうれしいです。自分の性格にピッタリ合う職業を見つけたと思っています。

PSA以外は興味なし
できる限り続けたい、心が望んだ看護助手という仕事

何か別の仕事やキャリアを考えたことはありますか?

先ほどもお話ししたように、最初の就職先で体調を崩して入院している間、一度看護助手を辞めようかと思ったことがあります。全く違う仕事に就くことを考えて、コンビニのバイトとか、何でもいいじゃないかと思いを巡らせたんです。でも、その時に他のどんな仕事よりも、看護助手が一番自分に合っているし、それ以外の仕事はしたくないとはっきり思えたんです。

あとは、看護助手をしている間に看護師にあこがれたこともありました。看護師になれれば、患者さんのより幅広いケアができるな、と。でも、私自身が注射の針を人に刺すとか、人に多少でも痛みを与える行為がどうしてもできないと気づきました。人に針を刺すくらいなら、今のまま看護助手としてずっと患者さまの傍で役に立ちたいです。
PSA歴は16年、看護助手としては前職含めすでに20年のキャリアがありますが、今でもこの仕事が大好きだし、他に何かやりたいと思えることは今のところないです。

どんな人がPSAに向いていると思いますか?

やはり人と接することが好きな人だと思います。あと、体力はある程度あった方が望ましいとは思います。でも、ちゃんとコツをつかめばそこまで体力に自信が無くてもできる仕事だと思いますよ。様々な体格の患者さまを相手にする仕事でもありますし、最初は分からず大変なこともあるかもしれませんが、細かい業務のやり方や、一つ一つの動作の仕方も先輩PSAや周りの人が教えてくれるので、慣れてくれば大丈夫ですよ。

その他のインタビュー

山田さん
私、亀田で生まれて、亀田で就職したんです(笑)

鴨川市の亀田総合病院(以後、亀田)で生を受けた18年後。母校の進路ガイダンスで看護補助者の人の話を聞いたことがきっかけで奇しくも亀田に就職することを決めた山田さん。

伊東さん
満足にできなかった親孝行。患者さまに尽くすことが、せめてもの恩返し。

たまたま始めた病院での清掃の仕事。そこで目の当たりにした「看護助手」(=PSA)という仕事こそ、伊東さんが求めていた職業でした。