乳腺外科専門研修

プログラム責任者からのメッセージ

乳腺科研修・就職をご希望の先生へ
乳腺科プログラム責任者 福間 英祐

当科は乳腺外科として30年以上の歴史があります。複雑化された乳腺診療を統合するため、2002年に乳腺センターとして再スタートをきりました。乳腺外科医は乳腺手術が確実にできることを基本とし、画像診断、化学療法などはそれぞれ専門医に任せるという分業化の流れがでてきました。
乳腺センターでは乳腺外科医以外に乳腺画像、乳腺病理、乳房再建形成外科医など専門性の高い医師が共に働いています。
しかし、教育の面からは、個々の医師は乳腺疾患全体像が把握できない、分業化された領域しか診療できないといった問題が生じてきます。そこで当科では乳腺に関わる健康とすべての病気に関わり、また個々の医師も高い専門性を保ちながら、乳腺診療に関する幅広い知識を持つことを科の目標としています。また乳腺内視鏡手術、乳腺凍結療法、ロボット支援下手術など乳腺に関わる多くの分野で先端診療に取り組んでいきたいと考えています。

乳腺志望の外科専攻医プログラム

当科乳腺研修の目的

多くの教育的選択肢を用意することで、将来の若手乳腺医師の活躍の場を広げることです。そのために、バラエティーにとんだ手術習得の場を提供します。さらに、乳腺疾患に関わることは全てが研修対象になります。科横断的な研修のため、画像診断・薬物治療・遺伝子診療なども研修し、多面的に乳腺疾患をみる医師を育てます。  
手術では、乳癌手術は年間約530から600例、乳腺科内で行う乳房再建手術は年間約200例です。常勤の乳腺外科専門医4名、乳腺科所属の形成外科医1名に加え、非常勤の乳腺外科専門医3名、形成外科医2名も手術指導をします。

手術研修

通常の乳癌手術以外に、乳癌内視鏡手術、ロボット支援下乳癌手術(2022年4月本邦初施行)、オンコプラスティックサージェリー、非切除凍結療法、人工物再建、脂肪注入、マイクロサージェリーによるリンパ管吻合などの多彩な手術修練ができます。
乳腺専攻医研修1年目から多くの手術を開始し、専攻医終了時までにはすべての手術を習得ないし経験します。

科横断的研修

研修開始1年後から乳腺外来を担当してもらいます。外来での上級医の指導以外に、画像・病理診断、薬物療法、遺伝子診療、癌生殖に関し、科横断的な研修体制を整えています。

対策
  • カンファランスの充実
    乳腺科所属病理医(黒住昌史先生)、放射線診断医、腫瘍内科医、遺伝子科、米国腫瘍内科医なども参加(on site, on line)する多職種Cancer Board
    放射線科診断医も参加する術前カンファ
  • 薬物療法指導体制
    Cancer Board以外に、腫瘍内科医(順天堂 渡邉純一郎教授)による外来直接指導、週1回の薬物療法カンファ、月1回の薬物療法講義
  • 病理カンファ
    乳腺病理専門医による月2回のon lineカンファ
  • マンモグラフィ、エコー読影資格取得への援助(金銭的な援助含む)
  • 乳腺関連講演会の主催
  • 腫瘍内科、病理科、画像診断科などの他科ローテ対応(後述)
  • 生殖科との連携
  • 充実の他院研修

海外との連携と研修機会の提供

当科では年間10件以上の海外医師の研修や見学を受け入れています(英国、シンガポール、中国、台湾など)。海外臨床修練生は常に1-2名在籍し、海外医師との交流は日常です。
研修医の海外見学・研修のサポートもしています。直近2年間では、イェール大学、エジンバラ大学、Candiolo Cancer Institute(イタリア)に3名の医師の見学実績があります。
当科全体では年20回以上の海外講演・発表実績があります。

乳腺科専攻希望医師のためのプログラム

プログラム年数

乳腺科希望の医師の研修年数は3年から6年です。3年の外科専攻医期間(外科研修6月間、他院研修6月間)中も規定の範囲内で充実した2年の乳腺研修を受けることができます。その後は、2 ~3年の乳腺科所属プログラムに進みます。(乳腺外科専門医取得の規定は今後も変わることが予測されます。その変更に柔軟に対応します)。プログラム年数は3~6年で、外科専門医取得と並行して乳腺外科専門医の取得を目指します。
5-6年の乳腺研修期間中には、希望により計6カ月間の他科研修(腫瘍内科、病理科、画像診断科など)が可能です。

乳腺外科プログラム概要

乳腺外科プログラム概要

最後に

科内医師の出身大学は、北は北海道から南は沖縄までバラエティーに富んでいます。自由な雰囲気での研修ができます。
女性の研修希望医師も多いため、出産、育児に配慮した研修をフレキシブルに組むことが可能です。研修終了後に、乳腺画像・乳癌検診・腫瘍内科・乳腺美容など他の乳腺関連領域への転身も可能です。

専攻医以外の医師のために

当科では、専攻医プログラム以外で当院研修を希望される先生(フェローシッププログラム)、あるいは経験豊富な指導医の採用も受け入れています。積極的にご応募ください。