定員:若干名

プログラム基本情報

当科の後期研修プログラムでは高い手術技能と的確な臨床判断、対応能力、医療倫理を備えた真に実力のある呼吸器外科専門医の育成を目指します。
2019年度の当科の年間手術実績は247例です。そのうち原発性肺癌が約70%を占めています。転移性肺腫瘍や縦隔腫瘍に対する手術の他、地域の基幹医療施設であることを反映して外傷や膿胸、感染性肺疾患等に対する手術も幅広く行っています。肺癌に対しては完全鏡視下肺葉切除術を標準術式として安全・確実に行い、高齢者や低肺機能患者に対しては肺区域切除術をやはり完全鏡視下に行っています。また、進行期肺癌で術前治療を行った症例において他臓器合併説所や気管支・血管形成術を要する手術も行っています。その他、内科各科、放射線科等と良好に連携して根治性とQOLの維持を目指した非手術的外科的介入を積極的に行います。当科で行う肺腫瘍に対する凍結治療はユニークな低侵襲治療です。
研修期間においては外科専門医取得に必要な症例経験の確保はもちろん、呼吸器外科専門医として重要な消化器外科、心臓血管外科等での基本手技の習得を重要視して個別のプログラムを設定します。互いを尊重する自由な雰囲気の中、経験豊富な指導医のもとで呼吸器外科医としての高みを共に目指しましょう。

プログラム責任者からのメッセージ

呼吸器外科専門研修プログラムを希望される皆様へ
呼吸器外科プログラム責任者 杉村裕志

亀田メディカルセンターは千葉県南房総地区の基幹医療施設として地域医療を重く担うと同時に、進取の気性や国際性に富み常に新しい事に挑戦するというユニークな特徴を併せ持っています。各科に経験豊富で医療人としてバランスの取れたスタッフがそろっており、高度な医療を日々実践しながらも院内には人に優しい雰囲気があふれています。
当科で研修を行う皆様には優秀な外科医、よき臨床医になる基礎をここでしっかりと作っていただきたいと思います。ここでは少数精鋭の環境で幅広い臨床経験をしていただきます。医局員の中で埋もれて過ごす時間はありません。地域の中核大病院ゆえに症例は豊富かつ多様であり常に前線でそれらに対応していただきます。人として医療人として患者さん、ご家族、周囲の医療スタッフと対等かつ適切な関係を作ることが求められます。必然的に研修期間内に習得できる手術手技は多岐にわたります。患者さんを第一に考えて型にはまらず臨機応変に状況にあたることが求められますのでリーダーとして対応できる臨床状況が確実に多くなります。
後期研修終了は呼吸器外科医としての独り立ちを意味します。亀田での研修を終える際には卒業生としての自信と誇りを持って旅立っていただけるよう精一杯お手伝い致します。

プログラム詳細

卒後3年目からの当院における呼吸器外科研修内容を示します。

診療科の紹介

2019年度の当科の年間手術実績は247例です。その内、原発性肺癌が約70%を占めます。その次に転移性肺癌、気胸、縦隔腫瘍が続きます。呼吸器内科や腫瘍内科との連携が強く、手術以外の肺癌治療(放射線治療・化学療法)は内科に任せますので、当科の仕事のほとんどは手術と術前術後管理です。
手術の主な特徴としては以下が挙げられます。

  1. I期肺癌に対する積極的な区域切除:2-3cm以下のI期肺癌に対しては約90%が区域切除を行っています。区域切除は難易度が高い手術ですが、当科はその経験が豊富ですので正確な区域手術を指導します。なお小開胸で行うので、外科の基本手技をこの手術からも学べます。区域切除は今後さらに増える小型I期肺癌の主流になって行きますので、これからの若い呼吸器外科医にとっては大事な研修内容となります。
  2. 2-3cm以上のI期肺癌に対する完全鏡視下肺葉切除:リンパ節転移の無い肺癌で2-3cm以上の肺癌に対しては90%以上に完全鏡視下で肺葉切除を行います。
  3. 局所進行肺癌に対する放射線化学療法後の積極的な手術:どのような局所進行肺癌でも完全切除の可能性が少しでもあれば、患者の体力が許す限り、積極的に手術を行っています。この際には大きく開胸をして行うので、開胸における基本手技はこの場面でも学ぶことができます。
  4. 積極的な気管形成術:当科はその経験が豊富な上、術前には必ず手術のシミュレーションを模型を使用して全スタッフで行うので、その技術が身に付きます。

募集人員

各年度:2名まで

研修指導医

プログラム責任者:部長 杉村裕志(日本呼吸器外科学会、専門医)
指導医:部長 武士昭彦(日本呼吸器外科学会、専門医)

なお各スタッフの経歴はホームページでご覧ください。

プログラム年数

基本的には卒後3年目から7年目までの5年間ですが、途中からの研修参加も大歓迎です。

学会活動および取得可能な資格

  1. 学会活動:
    日本外科学会(必須)、日本胸部外科学会(必須)、日本呼吸器外科学会(必須)、日本肺癌学会(必須)
    日本呼吸器内視鏡学会(推奨)、日本内視鏡外科学会(推奨)、日本癌治療学会(推奨)
  2. 取得可能な資格:
    日本外科学会専門医、日本呼吸器外科学会専門医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡認定医、日本癌治療学会専門医
  3. 学会論文発表
    呼吸器外科に深く関わる学会は日本呼吸器外科学会、日本胸部外科学会、日本肺癌学会、日本呼吸器内視鏡学会、等がありますが、そのうち年間2つ以上の学会総会には発表をして頂くよう、指導します。その他、各学会地方会で症例報告を年間2-3回発表していただきます。そして卒後8年以内には症例報告を2-3編は論文発表して頂くよう指導致します。呼吸器外科専門医取得には“学術誌1編以上の発表”の条件を満たさなくてはいけません。

研修期間に取得可能な検査・手術手技

  1. 検査:気管支鏡精査・生検・ナビゲーション下生検
  2. 術者として施行可能な手術手技(卒後4年目から呼吸器外科を修錬する場合)
    (1)卒後4・5年目:肺楔状切除、胸鏡下縦隔腫瘍切除
    (2)卒後6年目:開胸下肺葉切除、
    (3)卒後7年目:鏡視下肺葉切除、開胸下肺区域切除、胸鏡下胸腺全摘術
  3. 第一助手として施行可能な手術手技(卒後4年目から呼吸器外科を修錬する場合)
    (1)卒後4・5年目:開胸下肺葉切除、開胸下肺区域切除、
    (2)卒後6年目:鏡視下肺葉切除、胸鏡下胸腺全摘術、
    (3)卒後7年目:局所進行肺癌、放射線化学療法後のサルベージ手術、気管気管支形成術

後期研修プログラム概要

呼吸器外科研修の例

  1. 卒後3年目:消化器外科を1-2年研修し、外科の基本手技を身に付けます。消化器外科での基本手技習得はその後の呼吸器外科修錬にとても重要です。消化器外科研修の期間を1年にするか2年にするかは本人の希望です。なお日本外科学会の専門医を取らないと呼吸器外科の専門医は取れないので、その1-2年間に心臓血管外科、小児外科、乳腺外科、外傷外科の必要最低限の手術症例数を経験して頂きます。
  2. 卒後4年目:消化器外科で引き続き基本手技を身に付けることもできます。希望によっては4年目から呼吸器外科での研修をできます。じっくり基本手技を身に付けたい場合には、4年目は消化器外科を研修しますが、その期間を半年等に短縮することも可能です。呼吸器外科に必要な画像診断や気管支鏡の技術は日常の診療で学んで頂きます。但し気管支鏡専門医を取得する場合には一定の気管支鏡検査症例数(100例)が必要ですので、気管支鏡検査のある火曜日あるいは木曜日に検査に参加してもらいます。
  3. 卒後5年目から6年目:希望によって半年あるいは1年間、がん専門病院における呼吸器外科の短期レジデントになることが可能です。がん専門病院では外科以外にも、放射線診断や病理診断に特化して研修することができます。さらに全国から集まってくる同世代の呼吸器外科医とも切磋琢磨することにより、さらに知識と技術を身に付けることができます。がん専門病院以外でも希望する病院があれば、1年間までは出向できます。但し、その間の給与は基本的には研修先の病院から支給されるものと致します。卒後6年目には外科学会の専門医資格試験を受験し、外科専門医を取得します。
  4. 卒後7年目:最後の仕上げのため、多くの手術を術者として積極的に経験してもらいます。7年目には通常の区域切除、胸鏡下肺葉切除を自分でこなすことができるように指導をしていきます。なお、卒後8年以内には少なくとも症例報告を2-3編は論文発表し、呼吸器外科専門医取得の一つの条件である“学術誌1編以上の発表”の条件を満たすよう指導します。

週間予定表

 
7:30-8:00   呼吸器カンファ     術前カンファ  
8:00-8:30 病棟カンファ 病棟カンファ 病棟カンファ 病棟カンファ 病棟カンファ
午前 手術 手術 手術      
午後 手術 手術 手術 気管支鏡 気管支鏡  
16:00-17:00         外科カンファ  

(火曜日の呼吸器カンファは呼吸器外科、呼吸器内科、腫瘍内科の合同カンファレンス)
(金曜日の外科カンファは呼吸器外科、消化器外科の合同カンファレンス)

給与等の処遇

後期研修募集要項の“処遇”の欄をご覧ください。詳細はご遠慮なく、卒後研修センター・後期研修担当の栖原(スハラ)までお問い合わせください。

問い合わせ先

ご遠慮なく呼吸器外科部長 杉村裕志にご連絡ください
E-mail: sugimura.hiroshi@kameda.jp