【総合内科】研修プログラムの目的と方針
この文章は、プログラムが目指す基本的な目的、すなわち本プログラムが育成を目指す専攻医・フェローに求める特有の資質や能力を明らかにするものです。プログラムの理念は、運営母体である機関の全体的な理念と一致していることが求められます。
亀田メディカルセンター(KMC)の内科研修プログラムは、多様な医療現場において、安全で効果的かつ患者中心の医療を提供できる、優れた技能と倫理観、そして思いやりを持つ医師の育成を目指しています。本プログラムでは、臨床能力、リーダーシップ、そして生涯にわたる学びの姿勢を重視した厳格なカリキュラムを提供しています。
亀田メディカルセンターは、質の高い医療への取り組みにより、国際的に認められたJCI(Joint Commission International)認証や、各専門診療科における学術的な業績を通じて、日本を代表する医療機関の一つとして高く評価されています。このような卓越性を重んじる文化の中で、専攻医は研究、医療の質改善、そして根拠に基づく医療(EBM)に積極的に触れる機会を得ることができます。
当プログラムは、国際的および国内の認定基準の両方に準拠しており、日本内科学会(JSIM)の研修目標にも整合した内容となっています。卒業生は、都市部の病院から地域医療の現場に至るまで、幅広い環境で質の高い医療を実践できるように育成されており、日本国内はもとより、国際的な舞台でも活躍できる力を備えています。
千葉県南房総地域に位置する当プログラムは、高齢者が人口の38%を占める地域特性を踏まえ、地域医療と高齢者医療に重点を置いています。専攻医は、加齢に伴う複雑な疾患への対応、高齢患者のケア調整、そして人口構造の変化により生じる医療課題への対応力を養うための研修を受けています。
プログラムの使命を達成するために、亀田メディカルセンター内科研修プログラムは、臨床能力、リーダーシップ、そして専門職としての価値観を育成することを目的とした、明確な教育戦略に基づく5つの主要な目標を指針としています。
目標(Aims)とは、使命の実現に向けた具体的なプログラムの取り組みを意味します。
例:専攻医は少なくとも6か月間、地域医療に基づく研修に従事する/主要な研修施設は研究資源が豊富で、フェローが積極的に参加できる環境を整えている/指導医の育成のために多様なプログラムを提供し、参加状況を管理している。
-
教育の目的と理念
当プログラムでは、Yale Outpatient-Based Medicine Curriculum や POCUS 101 を取り入れた昼の定例カンファレンスなど、体系的な学習機会を通じて、急性期および慢性疾患のマネジメントに関する専攻医の能力を育成します。段階的に構成されたローテーションプラン(ブロックダイアグラム)により、総合内科病棟、総合内科外来、地域医療、専門科ローテーションなど多様な臨床現場を統合的に経験できるようになっており、専攻医が幅広い医療環境で活躍するための包括的なスキルを習得できます。 -
教育の卓越性への取り組み
当プログラムは、独立した意思決定力、批判的思考、そしてエビデンスに基づいた医療の実践を重視しており、グラム染色ワークショップ、画像診断ラウンド、臨床病理カンファレンスといった学びの場を通じてそれらを育てます。国際的な研修を受けた多様なバックグラウンドを持つ指導医たちが、多角的な視点と国際的な知見を提供し、専攻医の学びを豊かにするとともに、さまざまな医療環境での実践力を養います。専攻医は、国内外の学会で研究や臨床成果を発表することを積極的に支援されており、学術的成長と専門的な認知の向上が図られます。 -
多職種連携と総合的な研修
専攻医は、入院・外来・地域医療のさまざまな現場で研修を行います。研修先には、安房地域医療センターや亀田森の里病院などが含まれます。多職種カンファレンスでは、ソーシャルワーカー、薬剤師、リハビリスタッフなどと連携し、統合的な医療とチームワークの重要性を学びます。地域医療ローテーションでは、地域病院での救急、集中治療(ICU)、プライマリ・ケアの最前線に身を置くことで、実践的かつ柔軟な対応力を養います。 -
患者安全と医療の質向上
本プログラムは、患者安全を重視し、ヌーンカンファレンスでの重点的なディスカッション、医療の質改善(QI)プロジェクトへの参加、JCI(Joint Commission International)基準との整合を通じて、専攻医の安全意識と実践力を高めています。また、リスクマネジメント、医療エラーの防止、医療の質に関する包括的なeラーニングモジュールを通じて、患者アウトカムの改善と安全な診療を実践するための能力を育成します。 -
テクノロジーを活用した学びと革新
当プログラムでは、効率的な医療と将来に備えたスキルの習得を目的に、最新テクノロジーを積極的に活用しています。Point-of-Care Ultrasound(POCUS)研修、人工知能(AI)ツールの導入、eラーニングプラットフォームの活用により、診断力や意思決定力を高め、生涯学習の姿勢を促進します。こうした取り組みにより、変化する医療環境においても柔軟に対応できる力を養います。