連綿と続く亀レジ文化へのいざない

  1. TOP
  2. 先輩の声
  3. 初期研修医
  4. 連綿と続く亀レジ文化へのいざない

初期研修医37期生
内科専攻医
福田 直也

「内科医を志すうえで、感染症診療の基礎をしっかりと学びたい。」
私は学生時代に漠然とそんな志を持っていた。全国津々浦々の初期研修病院を見学に回る中で出会った亀田総合病院感染症内科や総合内科の診療風景に惹かれ、「私も研修医としてこの診療に携わりたい」と感じたことが、亀田の初期研修を目指した最初のきっかけであったことを記憶している。
学生の身である私に懇切丁寧に説明をしながらも、的確なアセスメント、白熱したディスカッション、正確な手技を次々と進めていく当時の亀田の研修医の先輩方の堂々たる背中に、医学生として強い憧れを抱いた日のことは昨日のように鮮明に思い出される。

そんな私もマッチングで縁あって亀田の初期研修医、人呼んで「亀レジ」の一員となり、春からは血液・腫瘍内科医として亀田の後期研修医となった。なぜ私が亀田の初期研修を志望し、後期研修も亀田で行うことにしたのか。それは何よりも「自分が一番成長できる環境に身を置いていたいから」に他ならない。医療の現場においては自分の臨床能力・研究能力・教育能力こそが医師としての命であり、自分の成長こそが患者のアウトカム改善につながるからだ。

ではなぜ私は「亀田総合病院であれば、自分が一番成長できる」と感じたのか。
その根底は、私自身が2年間亀レジとして過ごす中で感じた亀田の教育文化にある。

巷には「デキる(=優秀な)レジデント」=「デキレジ」という表現がある。もちろん「デキレジ」になることが初期研修のゴールでないのだが、ここでは簡単のために「デキレジ」という表現を使う。
「亀田に来ればデキレジになれますか?」とよく聞かれる。Yesと即答したいところだが、答えはおそらくNoである。初期研修を通じて痛切に感じたことだが、日々の仕事は力を抜こうと思えばいくらでも力を抜ける。自ら学ぼうとせず、上級医に言われたことだけを淡々とこなしていても日常診療は滞りなく回ってゆく。どの病院でもそうだろうが、それは亀田も同じである。何も成そうとしなければ何もせぬままあっという間に2年間を終えることも可能である。

では質問を変え、「亀田で努力すればデキレジになれますか?」という問いには、自信を持ってYesとお答えできる。もちろんどのような環境でも本人の努力次第で「デキレジ」になることは可能だろう。だが、亀田にはその努力を支える圧倒的なシステム・設備・人がある。ここで全てを語りたいのは山々だが、詳細なことはHPや説明会に譲りここでは私が亀田の研修が亀田の研修たりえるうえで最も重要だと考える5つのポイントを列挙する。

  • 南房総地域唯一の専門科が揃う基幹病院であり、common diseaseからrare disease、軽症から最重症まで偏りなく揃う多くの症例
  • 初期研修制度開始以前からの教育病院であるがゆえ、ファーストタッチから退院まですべてを初期研修医が主体的に診療できるよう確立されたシステム
  • 数多くの主要journalや文献検索サービスへのフリーアクセスをはじめとし、各科で抄読会も活発に行われるなど徹底されたEBM文化
  • ほぼすべての研修医が学会発表や論文執筆を経験できると言っても過言ではない非常に活発な学術活動
  • 熱心で経験豊富な指導医陣、研修医想いのスタッフ、そして何より互いに尊敬できる志の高い亀レジの仲間

これらのリソースを最大限活用することで、亀レジは「デキレジ」への最短距離を歩んでいくのだ。

亀田はoff the jobのレクチャーが豊富なわけではない。もちろん、主要20症候ごとの救急レクチャーや、縫合レクチャー、基本手技レクチャー、感染症レクチャーなどなど、研修医であれば最低限身につけておかなければならないポイントは週1-2回程度レクチャーが設けられているが、それでも初期研修で学ぶべきことの1/3もカバーできていないだろう(そもそも初期研修で学ぶことは無限であり、レクチャーで網羅することなどできないと私は思う)し、レクチャーで得られる知識だけに頼って研修をしていればたちまち無機的なマニュアル研修医が出来上がるだろう。

しかし、亀田の研修はそうはならない。そもそも毎日が熱心な指導医の下でのon the job trainingである。Off the jobでも、レクチャーのみならず豊富なリソースを生かした自己学習、さらには自己学習の内容についての研修医同士の自発的なディスカッションなど、研修医が自ら積極的に学び、知識をつけていく文化が根付いている。その文化の中で、有機的に学ぶ、自立・自律した研修医が育つ。それが亀田の研修だ。

だからこそ、亀レジは「普通の研修医」には育たない。自律的に学び、問題を解決していくからこそ、24人24色の個性豊かな研修医が育つのだ。

その個性豊かな研修医がお互いから良い刺激を受け、学び、毎日のように議論するような、熱気が渦巻く初期研修生活が亀田にはある。

…そのような環境に憧れ「亀田で成長したいと考えた」学生だった私も、亀レジとして2年間を過ごし、この4月からは後期研修医となった。
そして今年も、新たな亀レジたちが鴨川の町にやってきた。今はカルテの使い方さえおぼつかない彼らだが、そう遠くないうちに私に容赦ない疑問、質問をぶつけてくるようになるだろう。もちろん私もその熱意に真っ向から応えていくつもりだ。私の先輩が私にしてくれたように。
そのためにも、私もまた初期研修の時のように、あるいはそれ以上に学んでいかなければならない。私が憧れた、亀レジの先輩のようになるためにも。
私自身、亀田の初期研修を卒業した今、そのような決意がまた新たになった。

………そして最後に学生の皆様へ。
ここまで私の文章を読んでくださりありがとうございます。亀田の初期研修を見学に来て頂きたいのはもちろんですが、私個人としてはぜひ色々な病院を見学に行って頂きたいと思います。様々な初期研修病院を比較できるのは学生の特権です。
私たち亀田のスタッフは、様々な病院を見た学生が「それでも亀田で研修したい」と志望して頂けるような初期研修環境を作り続けていけるよう努力していきます。その上で、この文章を読んでくださった方々とご縁があって亀レジの先輩後輩として働ける機会があれば、私としてもこれ以上の幸せはありません。
そのような暁には、ここまで述べてきたような、共に悩み、喜び、成長する研修を提供することをお約束します。

いつか鴨川でお会いできる日を心から楽しみにしています。

関連する部署