外傷専門 救命救急科医師にインタビュー!

自分のモットーとして、一番辛い疾患に立ち向かいたい。これが私の根底にあります。学生時代は、それが「がん」だったわけなのですが、とある経験をきっかけに、自分にとって一番辛い疾患が「外傷」であるというふうに、私の中で認識が変わりました。その経験をきっかけに、私は外傷外科医を目指しました。
亀田総合病院で、後期研修を修了した後に、昨年9ヶ月にタイに留学して、外傷手術を学んで帰ってまいりました。
私の医師としてのモットーは、「一番つらい疾患に立ち向かいたい」という信念です。学生時代、このもっともつらい疾患とは「がん」だと考えていました。
しかし、ある臨床経験をきっかけに、私にとっての「一番つらい疾患」は外傷(がいしょう)であると認識が変わりました。
外傷とは、事故や災害などによって突然起こる身体の損傷のことを指し、患者さんやそのご家族が受ける衝撃は計り知れません。そのような命の危機と直面する現場で、少しでも力になりたい――そう強く思うようになり、外傷外科医を志すようになりました。
というのも、この鴨川の人々はとっても心が温かいと、日々感じているんですよね。
そんな私にとって、鴨川はまるで故郷(ふるさと)のような存在です。
この地域に住む人々を守りたい──そんな想いを胸に、鴨川に戻ってきました。

外傷診療(がいしょうしんりょう)では、一人の患者さまを治療していく上で、複数の診療科が連携して治療にあたります。
もちろん、各専門科の先生方は非常に高い能力をお持ちですが、それに加えて、とても相談しやすい雰囲気があるのが特徴です。
この「相談しやすさ」は医師だけでなく、コメディカル(看護師・放射線技師・臨床工学技士など医師以外の医療専門職)にも共通していて、救急外来のスタッフはもちろん、手術室のスタッフも非常に協力的です。
加えて、どの職種のスタッフも非常に勉強熱心で、「より良い医療を提供しよう」という姿勢がチーム全体に浸透していると感じます。
こうした「良くしていこう」とする文化が、亀田にはしっかりと根づいていて、それが大きな魅力だと思っています。

単に「いいね」と言って終わるのではなく、「いいね、一緒にやってみようよ」と行動につなげてくれる。
そうした協力的で前向きな風土が、日々の仕事の励みになっています。
外科医である私が救急科に所属する理由は3つあります。
私が救急科に所属している理由の1つ目は、これまで自分が外科医として積み重ねてきた経験を最大限に生かせる、そして仲間がそれを支えてくれる、そんな部署であるということです。
専門性を発揮しながらも、チームとして連携し合える環境があることは、私にとって非常に大きな魅力です。
2つ目は、緊急事態にフレキシブルに対応できる勤務体系が整っているという点です。
たとえば、緊急手術にすぐ入れるような体制があり、タイムロスなく対応できる環境は、外科医としての力を発揮しやすく、大変ありがたいと感じています。
そして3つ目は、主任部長が私の「やりたい」という思いに共感してくれるということです。
理解し、応援してくれる上司の存在は、日々の診療の中での大きな支えになっています。
この3つの理由から、私は現在、亀田総合病院の救急科に所属しています。

今後のキャリアについてですが、まずは救急に所属する外科医として、この南房総エリアにおける外傷診療(がいしょうしんりょう)の底上げに貢献したいと考えています。これは、私にとって当然の使命です。
しかし、私の夢はそれだけではありません。
もっと大きな目標として、日本全体、特に地方の外傷診療の底上げを実現したいと考えています。
そのためには、亀田病院の外傷外科・急性外科チームが、地方病院のロールモデル(模範)となる必要があります。
そして今、私が最も注力したいと考えているのは、若手医師が海外留学を通じて外傷診療を学べるシステムの構築です。
どうしても日本は安全な社会である分、重症外傷の経験が積みにくい環境にあります。
一方で、海外、特にアジアや中南米の一部の国々では、外傷手術の症例数が圧倒的に多いのが現状です。
そのため、若手医師には積極的に海外へ出て、実践的な外傷診療を経験してほしいと思っています。
しかし現在は、留学に必要な手続きや費用が個人の努力に任されている状況です。
だからこそ、誰もが海外に行きやすいような仕組みを整え、サポートできるチームをつくりたいと考えています。
もう一つ、日本人としての視点から、国際医療支援にも取り組みたいと思っています。
これは、私がタイに留学した際に強く感じたことです。
タイでは外傷診療に非常に熱心に取り組んでいますが、自国の患者対応に手一杯な状況で、他国への医療支援までは手が回らないのが現実です。
国際医療支援は、余力のある先進国が積極的に担うべき分野だと、私は留学を通じて感じました。
だからこそ、長期的な目標として、国際医療支援にも取り組んでいきたいと考えています。
もし、私と同じように
「日本の地方における外傷診療をより良くしたい」という思いを持っている方がいれば、
ぜひ一度、見学に来ていただいて、一緒に話しましょう。
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